防災・災害

陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)による愛知県の洪水観測の結果について

愛知県で2008年8月28日(日本時間、以下同じ)から30日にかけて起きた集中豪雨により、名古屋市、岡崎市、幸田町などで浸水の被害が発生しました。宇宙航空研究開発機構(以下JAXA)では、2008年8月30日(22時07分頃)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)による現地の緊急観測を実施しました。

図1: 全体図 (クリックで拡大画像へ)
2008年8月30日(災害後)の愛知県周辺のPALSAR画像(左)と、その撮影範囲(右)

2008年8月30日(災害後)の愛知県周辺のPALSAR画像
2008年8月30日(災害後)の愛知県周辺の撮影範囲
図1は、2008年8月30日(災害後)にPALSARの緊急観測により取得された取得された愛知県周辺の画像です。図2は図1の赤枠部分(岡崎市、幸田町付近)の拡大図です。合成開口レーダによる画像では水面などの平坦な面は暗く写る傾向があり、図中の黄色の円で示した領域には、洪水による浸水域と考えられる暗い領域があります。
図2: 図1Couba Island付近の赤枠領域の災害前後の拡大画像
図2: 岡崎市・幸田町付近の拡大図 (クリックで拡大画像へ) 図1赤枠部分を拡大したもの

図3は、PALSAR画像から浸水域を推定したもので、図の青色は川や海など、もともと水域だった領域、図の水色は浸水域と考えられる領域です。図中①の岡崎市・安城市にまたがる地域では、市街地や田畑が随所で浸水していたことが分かります。また岡崎市・幸田町にまたがる②の地域では、田畑が広い範囲で浸水していたことが分かります。

これらの結果は、水面が暗く写るという合成開口レーダの特性を利用し、災害前後の画像から暗い地域を抽出して分析したものです。レーダ画像は、暗い領域が必ずしも完全に水域と一致するとは限りませんが、広い範囲の状況を大まかに把握することに役立ちます。また、今回の観測は現地が悪天候でかつ夜間の観測であり、このような条件でも観測ができるのが合成開口レーダの大きな特長です。
図2: 図1Couba Island付近の赤枠領域の災害前後の拡大画像
図3: 浸水域の推定マップ (クリックで拡大画像へ) 水色: 浸水域、 青: 既存の水域(川、海、貯水池など) 背景画像: 擬似カラー合成画像(R/G/B = 災害後HH/災害前HV/災害前HH)
©JAXA EORC