防災・災害

陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるネパール森林火災の観測結果

2010年4月初旬からネパールにおいて森林火災が発生しました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では2010年4月5日14時10分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*1によりネパールの森林火災発生地の観測を実施しました。

図1は今回観測した画像全体の様子を示したものです。アブニール・ツーのバンド4、3、2を用いて植生を赤く強調しています。首都カトマンズから南西約70kmに位置しており、画像の南側約3分の1はインドです。観測当日はよく晴れていて、画像右側に見える白い煙は火災によるものと思われます。
図1: 今回観測した画像全体
図1: 今回観測した画像全体 (クリックで拡大画像へ) 取得日時: 2010年4月5日14時10分頃(日本時間) センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー) ポインティング角度: 0°、緑枠: 図2~4の範囲 フォールスカラー画像*2
図2は火災による煙と思われるところを拡大したもので、チトワン国立公園内です。火災前(46日前)の画像と比較すると、煙の周囲に火災前には赤く植生があるところが黒くなっていることが分かります。黒く見える場所は火災によって植生が失われた箇所と考えられます。
図2: 火災による煙と考えられる箇所周辺の拡大(それぞれ約20km×20kmのエリア)
図2: 火災による煙と考えられる箇所周辺の拡大(それぞれ約20km×20kmのエリア) 左:火災後(2010年4月5日), 右:火災前(2010年2月18日)のフォールスカラー画像*2 (クリックで高解像度画像へ)
図3、4にも火災により焼失したと考えられる場所が黒く見えています。河川周辺には町が広がっており、火災により焼失した場所が町のすぐ近くまで迫っていることがわかります。また火災によると思われる煙も確認できるため、これからも警戒が必要です。
図3: 火災により焼失したと考えられる箇所周辺の拡大(それぞれ約20km×20kmのエリア)
図3: 火災により焼失したと考えられる箇所周辺の拡大(それぞれ約20km×20kmのエリア) 左:火災後(2010年4月5日), 右:火災前(2010年2月18日)のフォールスカラー画像*2 (クリックで高解像度画像へ)
図4: 火災により焼失したと考えられる箇所周辺の拡大(それぞれ約20km×20kmのエリア)
図4: 火災により焼失したと考えられる箇所周辺の拡大(それぞれ約20km×20kmのエリア) 左:火災後(2010年4月5日), 右:火災前(2010年2月18日)のフォールスカラー画像*2 (クリックで高解像度画像へ)

取得された画像は、センチネルアジアを通じネパールへ提供しました。

*1: 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー): 青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像は0度で取得しました。

*2: フォールスカラー画像: AVNIR-2のバンド4, 3, 2を用い、植生を赤く強調しているため火災による焼失場所などの地表面の変化が見やすくなります。

©JAXA EORC