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地球が見える 2009年

緑豊かなインドの首都、デリー

図1 デリー中心部
図1は陸域観測技術衛星「だいち」に搭載されたPRISMとAVNIR-2が2008年に観測したデータから作成した、インド北部に位置する首都、デリーの中心部のパンシャープン画像です。
図の右上の領域はオールドデリーで、2007年に国際連合教育科学文化機関 (UNESCO)の世界文化遺産リストに追加された「レッド・フォート(赤い砦、ヒンディー語ではラール・キラー)の建造物群」やインド最大のモスク、ジャマー・マスジッドが見えます。これらの建物は、タージ・マハールを建造したムガール帝国第5代皇帝シャー・ジャハーン(1592〜1666年)が建設したものです。ラール・キラーの正門に当たるラーホール門から西の方向には、オールドデリーの繁華街チャンドニー・チョウクが延びています。この大通りの北側にはデリー駅が見え、ここからは、ラジャスターン州の州都、ジャイプルとの間を結ぶ列車が発着します。
一方、ニューデリーは図中央の整然とした街並みの領域で、図の中央には大統領官邸とインド門とを結ぶラージ・パト(王の道の意)が東西方向に延びています。インド門は第一次世界大戦で戦死したインド兵の慰霊碑で1971年に完成しました。ラージ・パトの北側では、ニューデリーの中心街であるコンノート・プレイスとインド門からそれぞれ放射状に延びる大通りが交わり、一辺の長さ数百mの濃い緑色の三角形や四角形の模様を作り出しています。ラージ・パトの南側でも同様の模様が見られ、緑地の中に白い建物が点在していて、緑豊かな街並みであることが分かります。
コンノート・プレイスの北側にはニューデリー駅があり、ベンガル湾に近いコルカタ、アラビア海に面したムンバイなど主要都市との間を結ぶ長距離列車が発着します。コンノート・プレイスの南西には、ムガール帝国の時代にジャイプルの藩王ジャイ・シン2世(1688〜1743年)が建造した天文台ジャンタル・マンタルがあり、日時計などの大きな天体観測施設が残されています。拡大図をみると、コンノート・プレイスの南東には約30棟の高層ビルが立体的に見えています。これは、図1の作成の際に、PRISMの後方視の画像を使ったので、空中から見たような画像ができたためです。
インド門の北東には鍵形の最高裁判所があり、大統領官邸の東側にはラージ・パトを挟んで、政府機関が入っている北と南の合同庁舎があります。首相の執務室は南合同庁舎の中にあります。インドの元首は選挙で選ばれる大統領で、多くの任務は儀礼的なものです。首相は、議会で多数を占める党の党首が任命され、政府と内閣の長を務めます。
北合同庁舎の北東側には車輪の形をした国会議事堂が見えています。ラージ・パト沿いには国立博物館が、インド門の南東側には国立近代美術館があります。灰色に見える大統領官邸を除いて、これらの建物はいずれも白く見えています。
1911年に英領インドの首都がカルカッタ(現コルカタ)からニューデリーに移されることが宣言されてから、イギリス人の建築家によって新首都の建設計画が進められ、1931年に正式に業務が開始されました。インド共和国は1947年8月15日に独立を果たしましたが、インド総督官邸が大統領官邸となるなど、建物はそのまま使われてきています。
インド門の東にはムガール帝国の第2代皇帝フマユーン(1508〜1556年)が城として使ったプラーナー・キラーの城壁が見えています。その南にはタージ・マハールに影響を与えたフマユーン廟があります。「デリーのフマユーン廟」は1993年にUNESCOの世界文化遺産リストに追加されました。
インド門の南西には、ガンディ記念博物館があります。ここは、インド独立の父、マハトマ・ガンディ(1869〜1948年)が最晩年を過ごした場所です。また、ラール・キラーの南にはガンディが荼毘(だび)に付された記念公園ラージ・ガートがあり、その近くに国立ガンディ博物館があります。
図の下にはインドの初代首相にちなんで命名されたジャワハルラール・ネルー・スタジアムがあります。このスタジアムは1982年に完成した多目的スタジアムで、サッカーなどのスポーツ競技の際は78,000人の観客を、コンサートの場合は13万人の観客を収容できます。
このスタジアムの西にはエネルギー資源研究所(TERI)があります。2007年のノーベル平和賞は米国のアル・ゴア元副大統領と気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に贈られましたが、IPCCの3代目の議長ラジェンドラ・パチャウリ博士がこの研究所の所長を務めています。
図左下のサフダージュン空港は、旧パラム空港(現インディラ・ガンディ国際空港)に民間の定期便の発着が移された1962年まで、ニューデリーの玄関として使われ、現在では、非定期の民間の小型プロペラ機の運航に使われています。
この他、図の下半分には、ゴルフ場と競馬場が見えています。

図2 デリー広域図
(Google Earthで見るインド・デリー(kmz形式、2.61MB、低解像度版))
図2はAVNIR-2が2008年11月に観測したデリーの広域図です。ニューデリーを含むデリー市の人口は2001年の国勢調査の結果によると1,378万人でしたが、人口増加が続いて、現在は1,700万人に達していると推定されています。
画像全体に市街地が広がり、緑地が点在しています。デリーの中心部は西側のデリー丘陵と東側のヤムナー川に守られた場所に位置していることが分かります。ヤムナー川は南東に流れ、ここから200km下流でタージ・マハールのすぐ後ろを流れ、570km下流でガンジス川に合流します。
デリー中心部の南東にはハスの花を象(かたど)ったバハーイー寺院が白い点として見えています。
デリー中心部の南西には高さ72.5mの塔を含むクトゥブ・ミナールがあります。「デリーのクトゥブ・ミナールとその建造物群」は1993年にUNESCOの世界文化遺産リストに追加されました。塔のすぐ脇には高さ7mで、4世紀に建てられたのに未だに錆びていない不思議な鉄柱があります。
クトゥブ・ミナールの西にはインディラ・ガンディ国際空港が、デリー中心部の北東にはヒンドン空軍基地がそれぞれ見えています。

図3 インディラ・ガンディ国際空港
図3はインディラ・ガンディ国際空港のパンシャープン画像です。空港名は、インドの第5代及び第8代首相を務めたインディラ・ガンディ(1917〜1984年)にちなんでいます。
北側には長さ約2,900mのやや短い滑走路があり、その南には長さ約3,900mの長い滑走路が見えています。国内線ターミナル(T1)は図の右上に、貨物ターミナルは図中央に、国際線ターミナル(T2)は図中央左に分散して配置されていることが分かります。国際線ターミナル(T3)はまだ工事中で、2010年3月末に完成予定です。
図の下の長い滑走路は2008年9月に運用が開始されたばかりの新しいものです。
図を拡大して見ると、駐機中または誘導路を移動中の多くの航空機が見えています。



参照サイト:
インド大統領府のサイト
インド首相府のサイト
インディラ・ガンディ国際空港の公式サイト

観測画像について:


(図1〜図3、図をクリックすると二段階で拡大します)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)(図1〜3)及び
パンクロマチック立体視センサ(PRISM)(図1及び図3)
観測日時: 2008年4月7日05時37分頃(世界標準時) (PRISM) (図1)
2008年10月8日05時37分頃(世界標準時) (PRISM) (図3)
2008年11月23日05時38分頃(世界標準時) (AVNIR-2) (図1〜3)
地上分解能: 2.5m (PRISM)、10m (AVNIR-2)
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
AVNIR-2は、4つのバンドで地上を観測します。図2は、いずれも可視域のバンド3 (610 〜 690ナノメートル)、バンド2 (520 〜 600ナノメートル)とバンド1 (420 〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当ててカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じような色合いとなり、次のように見えています。なお、図2では広い範囲を表現するため、地上分解能を20 mに落としています。

濃い緑色: 森林
明緑色: 草地、農地
灰色: 市街地、道路
白: 建物
青: 水域(川、池)

PRISMは地表を520〜770ナノメートル(10億分の1メートル)の可視域から近赤外域の1バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行うことができますが、ここでは後方視の画像を使っています。
AVNIR-2画像を「色相(Hue)」、「彩度(Saturation)」、「明度(Intensity)」に変換(HSI変換)し、明度をPRISM画像で置き換えて再合成することで見かけ上、地上分解能2.5mのカラー画像を作成することができます。 図1及び図3は、このように高分解能の白黒画像と低分解能のカラー画像を組み合わせて合成された高分解能のカラー画像、つまりパンシャープン画像です。なお、図1及び図3では広い範囲を表現するため、地上分解能を3mに落としています。色合いは上記のAVNIR-2画像と同様です。

関連サイト:
ALOS 解析研究ページ
世界一美しい霊廟:インド、タージ・マハール
インドとスリランカをつなぐ7つの島
湖上の宮殿、ウダイプル
地球が見える 陸地・地形
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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