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地球が見える 2008年

現代のオアシス都市・アブダビ、アラブ首長国連邦

図1 アブダビ周辺画像
図1は2007年11月に捉えたアブダビ周辺の画像です。アブダビは、アラビア半島の南東部に位置するアラブ首長国連邦(UAE)の首都です。図上辺に広がる紺青のペルシャ湾(アラビア湾)に面しています。図下辺の明るい黄土は「何もない土地」という意味を持つルブアルハリ沙漠の東端の沙漠です。砂上を斜めに走る黒いラインは街路樹のある高速道路で、海岸には大小の砂州が浮かんでいます。ザクムやウムアダルクなどの海上油田はアブダビの西の海域に位置します(図には含まれていません)。そこでは日本の石油会社が操業中です。
図右上の暗褐色のアブダビ島がアブダビの市街地です。緑の多い都市域は砂地よりも光の反射率が低いことから暗く見えます。雨が非常に少ないため植物への灌水や生活用水にはほとんど海水蒸留水が使用されています。図右上端のウンムアルナール島にある淡水化処理設備は日本の技術で建設されました。市街の周囲に目を転ずると一際白い砂州が見えてきますが、ドバイとの競合を避けるために環境と文化をテーマとして大規模な観光開発が進められている島々です。特に幸福という名のサディヤット島にはルーブル美術館分館などの数多くの美術館や国立博物館を集めた世界的な文化センターが建設されることになっています。

図2 アブダビ市街拡大図
(Google Earthで見るアブダビ (kmz形式、3.85MB、低解像度版))
図2はアブダビ市街の拡大画像です。市内には碁盤の目のように幹線道路が走り、大通りに面を揃えて整然と並ぶ角形の高層ビルの谷間にはナツメヤシの街路樹や緑豊かな公園が配置され、新都市特有の無機的な姿を現しています。都市計画によって高密度に配置された高層ビル群は、ペルシャ湾から眺めると沙漠から突き出た摩天楼との形容が相応しい景観を与えます。その中で流線型を基調にした独特な外観で異彩を放つ建物が、コルニッシュ通りの傍にそびえるアブダビ投資庁(Abu Dhabi Investment Authority、ADIA)のタワービルです。世界最大(推定約1兆ドル)の政府系投資ファンドとして知られ、米国のサブプライムローン問題を発端とする今般の金融危機では、米国の金融最大手への救済策をいち早く表明したことで一躍有名になりました。
図左端には白い弓形のビーチに面し広大な庭園に囲まれた7つ星ホテルのエミレーツパレスが見えています。サーモンピンクの瀟洒な佇まいと豪華な室内装飾からまさに宮殿のようなホテルと言われています。このほか市内を眺めると、島の北端に海の玄関口ザーイド港、市内中央には芝生の緑も鮮やかなゴルフ・乗馬コース、右下辺にバティーン空港、島への入り口付近にはスポーツ競技場や世界で三番目に大きいといわれるシェイク・ザーイド・モスク(4万人収容、5,627平方mの世界最大の絨毯)を見ることができ、都市機能が空間的に高密度に集積された街であることが窺えます。

図3 フタイシ島
図3は、アブダビ島の下方に位置する砂州、フタイシ島です。島全体が環境を中心としたリゾートアイランドとなっており、アラブ馬や野生動物などと触れ合えます。島の北部には数多くのコテージが見えています。さらに島の南部には「HAMAD」と読める大きな文字が見えています。最初の2文字「HA」が緑色で、残りの3文字はほとんど砂地のままです。文字のサイズは約500メートル、海水を注ぎ込んで描かれたようです。2006年頃からネット上では地上に刻まれた巨大文字のミステリーとして話題になっていたようですが、このリゾートアイランドの出資者の名前を彫りこんだというのが真相のようです。このように、衛星画像は地上に刻まれた奇怪な造形を発見し、時間的変化を糸口にその謎に迫る楽しみも与えてくれます。

アラブ首長国連邦は、1960年代初頭にこの地に石油が発見され、英国がスエズから撤退した後の1971年に自治権の強い7つの首長国から成る連邦国家として誕生しました。建国以来日本とは極めて親密な関係を保っています。日本の国技大相撲の優勝力士にアラビア伝統のコーヒーポットを模した友好杯とガソリン1年分の副賞が贈られることが良く知られています。そして、原油高の現在、原油総輸出量の60%を日本に輸出する産油国として、重要な貿易相手国の一つとなっています。
最近は7つの首長国のうち観光産業に力を入れているドバイに脚光が当っていますが、アブダビ首長国はUAEの国土の約80%、総産油量の90%以上を占めるなど政治・経済の中心地です。そして全世界の原油埋蔵量の約10%を占め、今後100年間石油採掘が可能と推定されています。ペルシャ湾とルブアリハリ沙漠に抱かれたアブダビは、潤沢なオイルマネーを媒介として世界中の人々に活力と憩いの場を提供する現代のオアシス都市です。



観測画像について:


(図をクリックすると2 段階で拡大します)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)(図1、図2および図3)、
パンクロマチック立体視センサ(PRISM)(図2および図3)
観測日時: 2007年11月28日7時7分頃(世界標準時)
地上分解能: 10m(AVNIR-2)および2.5m(PRISM)
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
(図1)
AVNIR-2 は、4 つのバンドで地上を観測します。図1は可視域のバンド3(610 〜 690ナノメートル)、バンド2(520〜600 ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。

灰色: 市街地、道路
こげ茶色: 湿り気を帯びた砂地
アイボリー: 裸地または砂地
青: 水域
白:

(図2および図3)
PRISM は地表を520〜770 ナノメートル(10 億分の1 メートル)の可視域から近赤外域の1 バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行いますが、ここでは直下視の画像を使っています。
AVNIR -2 の、バンド1(420〜500 ナノメートル)、バンド2(520〜600 ナノメートル)とバンド3(610〜690 ナノメートル)を青、緑、赤色に割り当てカラー合成したAVNIR-2 画像を「色相(Hue)」、「彩度(Saturation)」、「明度(Intensity)」に変換(HSI 変換) し、明度をPRISM画像で置き換えて再合成することで見かけ上、地上分解能2.5m のカラー画像を作成することができます。
図2 および図3はこのように高分解能の白黒画像と低分解能のカラー画像を組み合わせて合成された高分解能のカラー画像、つまりパンシャープン画像です。


関連サイト:
ALOS 解析研究ページ
アラビア半島の商都・保養地、ドバイ
地球が見える 陸地・地形
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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