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地球が見える 2005年

TRMMで見た気象災害:2004年をクローズアップ

(図1) 2003年の台風の経路図 (図2) 2004年の台風の経路図

昨年の夏から秋にかけ、日本では記録的な集中豪雨や台風の上陸によって、洪水や崖崩れなど、深刻な被害が発生しました。気象庁の統計資料によると、2004年の台風発生数29個は、平年(年間発生個数26.7個)と大きく違いはありませんが、日本に上陸した台風の数は10個と、平年の上陸数2.6個を大きく上回り過去最多の上陸数となりました(これまでの記録は1990、93年の6個)。図1、図2は、2003年と2004年の台風の経路を示したものです。2003年に比べ、2004年は非常に多くの台風が日本に上陸したことがわかります。また、沖縄地方に接近した台風も非常に多いことがわかりますが、これらの台風により、200名近い人命が失われました。このように多くの台風が日本に襲来したのは、太平洋高気圧が平年よりも北に位置し、日本付近に張り出したため、その縁辺を通る台風の多くが日本列島に上陸するコースを取ったことによります。

(図3)福井豪雨の降雨分布と雲画像(上)
及び降雨の立体画像と断面の降雨強度(下)

  また台風以外にも、各地で短時間の強雨や大雨が頻発しました。1時間雨量で50mm以上の短時間強雨や、日降水量で200mm、400mmを超えるような大雨の回数も、観測開始以来最も多くなりました。特に7月は梅雨前線の活発化に伴い、新潟・福島豪雨や福井豪雨が発生、大きな被害となりました。図3は熱帯降雨観測衛星(TRMM)の降雨レーダ(PR)が捉えた2004年7月18日の福井豪雨の様子です。福井県から南東に延びる梅雨前線の活発化に伴って、福井県嶺北地方を中心に、1時間降水量87mm、日降水量283mmという集中豪雨が発生しました。この豪雨によって足羽川堤防が決壊し、死者・行方不明者5名、建物の全半壊178棟という深刻な被害がもたらされました。TRMMはこの日の午後8時前(日本時間)にこの豪雨を観測しました。この時間は、最も降雨が激しかった時間に相当します。水平断面の画像から線状の降雨域が南東に延びていることがわかります。特に福井県上空で、赤色で示された非常に強い降雨が発達していることがわかります。またこの降雨を北側から見た立体画像と鉛直断面を見ると、赤色で示した強い降雨が高い高度にまで延びていることがわかります。またこのときの降雨の高さは13kmに達し、このときの降雨が非常に発達した雲(積乱雲)によってもたらされていることがわかります。

(図4) TRMMが観測した気象災害
(1997年11月〜2004年12月まで)
(図5)カリフォルニアの豪雨の
降雨分布と雲画像
(図6)降雨の立体画像と
断面の降雨強度

  図4はTRMMが1997年11月に打ち上げられてから、これまで7年間で観測してきた世界の気象災害をまとめたものです。この7年間で豪雨、台風、干ばつなど、世界の各所で気象災害が発生しています。しかしこれらは数多く起こった気象災害の一部分を抜粋したものに過ぎません。地球上では絶えず大きな気象災害が発生しています。年が明けてからもカリフォルニア州を中心とした米国西部で大雨と大雪による洪水や土砂崩れの被害が発生しています(図5、6)。地球の温暖化が進むと、降水量の変動量が大きくなり、このような災害が増加すると言われています。昨年の災害の頻発が温暖化の影響とは言い切れませんが、このような降水量の全球観測を今後も続けていくことが重要です。TRMMは今もこのような世界中の気象災害を観測し続けています。



参考サイト:
台風の統計資料(気象庁)
平成16年夏から秋にかけての集中豪雨・台風等について (平成16年11月25日)(気象庁)


観測画像について
観測衛星: 熱帯降雨観測衛星(TRMM)
観測センサ: 降雨レーダ(PR)
観測日時: 2004年7月17日22時53分(日本標準時)(図3)
2005年1月9日22時14分(日本標準時)(図5、6)
(雲画像はGOES9号による(提供:(財)日本気象協会))

関連サイト:
TRMM台風データベース
TRMM台風速報
AMSR-E台風データベース
AMSR-E台風速報
AMSR-E「今日の一枚」

本文ここまで。
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画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
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