地球が見える 2004年
強い台風10号が日本接近中
現在強い台風10号(ナムセーウン)が日本の南海上を西北西にゆっくりと進んでいます。この台風はこのまま進むと、週末にかけて西日本にかなり接近すると思われます。 現在のような盛夏時には、強い太平洋高気圧に阻まれて、台風の動きは遅くなります。またその動きも迷走するようになり、予報するのが大変難しくなります。 熱帯降雨観測衛星(TRMM)に搭載された降雨レーダ(PR)が、この台風10号を捉えています(*)。 図1は7月27日6時(日本時間)にPRによって観測された高度2kmにおける降雨分布をGOES9号で観測された雲画像に重ねたものです。この台風では、小さな目の回りに壁雲に相当する強い降雨域(赤い領域)があり、その外側にまた無降雨域があるというあたかも目が2重になっているような構造をしています。またさらにその外側には、レインバンドと呼ばれる細い線状の強い降雨域が螺旋状に存在していることがわかります。
図2は図1の線A-Bに沿った降雨の立体画像と断面の降水量です。台風の目の周りに高さ10kmまで達する降雨があり非常に強い雨が降っていることがわかります。 台風が刻々と変化する様子は「台風速報」に掲載されています。 TRMMは運用を停止することが発表になりましたが、現時点ではまだ元気に運用を続けており、今回の台風10号や福井豪雨などの激しい降雨現象の詳細な構造を観測しています。 (*)アメリカの地球観測衛星Aquaに搭載されたJAXA開発の改良型高性能マイクロ波放射計AMSR-Eでも、7月28日に台風10号を捉えました。>>AMSR-Eが捉えた台風10号
関連ページ ・TRMM台風データベース ・TRMM台風速報 ・AMSR-E台風速報 ・AMSR-E「今日の一枚」 |