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地球が見える 2004年

日本近海の海洋植物プランクトンの春季大増殖

 
図 クロロフィルa月平均濃度(2003年3月〜7月)

これらの画像は、GLIによって観測された日本周辺海域における、2003年3月から7月までの海洋植物プランクトン中に含まれるクロロフィルa(*1)の月平均濃度を示したものです。赤いほどクロロフィルa濃度が高く、青いほどクロロフィルa濃度が低いことを示します。GLIによるクロロフィルa濃度の連続観測は、冬の間に海洋の表層に運ばれた栄養塩(*2)を利用して、春に海洋植物プランクトンの光合成活動が盛んになり爆発的に増殖する現象(植物プランクトンブルーム)の始まりから終わりまでを鮮明に捉えています。また、クロロフィルa濃度の高い海域(画像中の赤や黄色の海域)が4月に日本海西部・東シナ海・黄海で見られますが、春から夏にかけて日射が増加するのに伴い、5月から6月には三陸沖・日本海北部・北海道周辺・オホーツク海へ北上していく様子もわかります。一方、日本の南側の亜熱帯海域では、クロロフィルa濃度は低く推移し、植物プランクトンブルームは見られません(画像中の青色の海域)。

植物プランクトンブルームが起こる要因として、春から夏にかけての日射の増加と、海の表層へ供給される窒素・リンなどの栄養塩が重要な役割を果たすと言われています。海洋植物プランクトンは、この太陽光と栄養塩を得て光合成をするためです。低緯度ほど日射の増加する時期が早いので早くブルームが起こり、栄養塩が光合成によって消費され、ブルームの終焉も早くなります。高緯度域は日射の増加が低緯度より遅くなるため、遅れてブルームが起こります。また、日本周辺の中緯度海域は栄養塩が非常に豊富な海域として知られており、三陸沖やオホーツク海では非常に大規模なブルームが見られます。一方、亜熱帯海域は貧栄養海域とも呼ばれ、栄養塩濃度が通年で非常に低い海域なので、日射量は十分でも海洋植物プランクトンの急激な増加はあまり見られない海域として知られています。

植物プランクトンブルームは、海洋植物プランクトンが光合成によって海水に溶け込んだ二酸化炭素を取り込み固定する量(海洋の基礎生産量)に大きな影響を及ぼすといわれています。クロロフィルa濃度分布をモニターすることは、地球温暖化に関わる海洋の炭素循環の解明、さらに海洋植物プランクトンは食物連鎖を通じてイワシやマグロなど多くの魚類のエサとなるため、水産資源の保護及び管理等にも役立ちます。

(*1)クロロフィルaは、植物に含まれ光合成において重要な働きをする葉緑素の一種です。クロロフィルにはa,b,c,d,eなどがありますが、クロロフィルaはこの中でもすべての植物プランクトンに共通に含まれるので、海洋植物プランクトン量の良い指標になります。

(*2)これらの栄養塩は、冬季の強い季節風によって海がかき混ぜられることにより海の深層から表層へ運ばれたり、岸に沿って流れる海流による上昇流、河川水等の影響によって表層へ供給されます。


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