地球観測衛星の多くは太陽同期軌道を周回しています。これは、搭載するセンサが光源として太陽光を用いる場合、衛星と観測点と太陽の位相を変化させない必要があるためです。 一方、TRMM衛星は太陽非同期の円軌道であり、軌道傾斜角は35°に設定されています。このような軌道を採用した背景には、軌道傾斜角を低くして熱帯を高頻度でカバーしようとする考え方と、衛星の観測対象である直下点の観測時刻を変化させたいという積極的な理由があります。降雨は、一日のうちの何時に降るのかが重要です。TRMM衛星が採用する軌道は、46日毎に観測地点の地方標準時は一巡し、この46日間の上昇、下降軌道で各々6〜7回の観測ができます。この軌道で、TRMM衛星は約90分で地球を1周し、1日に16周回します。