Calibration偏光校正

装置と、地球大気により散乱される観測光の両方に大きな偏光があります。銀製ポインティングミラー表面の保護コーティングには偏光相があります。偏光された入力観測光への応答を計算するには、装置の偏光反射率と位相を考慮する必要があります。入力観測光のストークスベクトルとTANSO-FTS測定の2つの直線偏光「P」および「S」の関係は、ミュラー行列を用いて次のように表わすことができます:

(1)

(2)

ここで、 は、それぞれ、偏光ビームスプリッターのミュラー行列、FTS機構部と後部光学系の光学効率、ポインティングミラー表面コーティングでの位相差、ポインティングミラーの反射率、CT回転角を表します。は、それぞれ、出力信号と入力信号のストークスベクトル、CT角およびAT角を表します。大気の頂上におけるストークスベクトルは、ベクトル放射伝達モデルにより計算することができます。入力ストークスベクトル(IQUV)の偏光の基準平面は、観測地点の局所法線と、観測地点から衛星までの光線によって定義できます。

上述のミュラー行列は、斜視の場合のポインティングミラーのAT角とCT角に対する依存性を補正するために必要です。したがって、図1および図2(a)に示すように、補正のためにはのポインティングミラーの反射率および位相情報がAT角(ミラーに対する入射角)の関数であることが求められます。これらのデータは、本番用のミラーと同時にコーティングされた、検証用複製サンプルと一緒に取得されます。このコーティングは、短波長赤外域に最適化されて99%より高い反射率を有しており、SWIRバンドにおけるAT角依存性は非常に小さいです。

ただし、図2(b)に示すように、一部のTIR波長では反射率はより低く、偏光感度はより高くなります。測定された分光放射輝度は、観測光、ポインティングミラーからの熱放射、背景輻射を用いて次のミュラー行列の式で表わすことができます。

(3)

ここで、は、それぞれ、ポインティングミラー反射率のミュラー行列、ポインティングミラーからの放射のストークスベクトル、校正の間の背景輻射の変動を表します。I成分は、TIRのレベル1処理において方程式(3)から取得します。

(a)
図 19(a)

(b)
図 1(b)

図 1 複製サンプルを用いて測定された、入射角35 °、40 °、45 °、50 °、55 °のミュラー行列用のポインティングミラーの位相:(a) バンド1、(2) バンド2および3

(a)
図 2(a)

(b)
図 2(b)

図 2 複製サンプルを用いて測定された、入射角35 °、45 °、55 °の2つの直線偏光(PおよびS)に対するポインティングミラーのスペクトル反射率:(a) SWIR、(b) TIR。

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