Calibration分光校正

打ち上げ前校正およびシミュレーションモデル

地球物理学的パラメーターは、測定された分光放射輝度と大気の頂上でシミュレーションされた放射輝度を比較することにより導出されます。および、地上気圧などの地球物理学的パラメーターは、装置関数(ILSF)でコンボリュ-ションされた、測定スペクトルとシミュレーションされたスペクトルの間の残差を最小化することによって導出されます。ILSFは波長の関数であるため、選択された波長域別にILSFがモデル化されています。モデルをシミュレーションで作成する理由は、波長可変ダイオードレーザーの単色光による打ち上げ前試験が限られた波長で実行され、全てのスペクトル範囲を網羅していなかったためです。不完全な位置合わせで設置された検出器の軸のずれは、ILSFの非対称をもたらしますが、この影響は数値的なシミュレーションが可能です。短波長のILSFは位置ずれに対してより敏感であり、積分時の検出器の位置を正確に測定する必要があります。 バンド1Pおよび1Sの理想的な光軸からのずれ量は、打ち上げ前に、波長可変ダイオードレーザーからのモノクロ光を導入することによって推定されています。この特性把握において、視口径内の空間均一性、および、IFOV全体の角度均一性は特に重要です。打ち上げ前試験の機器構成は完全ではありませんでしたが、それでもデータには検出器のオフセット情報が含まれています。不完全な打ち上げ前試験の機器構成を慎重にシミュレーションすることによって、オフセット値を推定しました。ILSFの最良推定モデルは、オフセット値と光学的収差を使用して計算します。一方、バンド2、3、4では、ILSFは検出器の位置ずれにそれほど敏感ではなく50 µm未満であるため、IFOVの有限サイズの影響を考慮しました。

Fig. X8
The ILSF test configuration at pre-launch and the ideal one.

図 1(a)
バンド 1P のILSFモデルの更新履歴

「打ち上げ前校正およびシミュレーションモデル」については、英語版もあわせてご覧ください。

軌道上の分光分解能

ILSFの対称性は、分光分解能と光学系の配置を表わします。1.55 µmの単色ダイオードレーザーが光学ユニットの外面構造に取り付けられており、拡散板を照らします。これは、バンド2Pと2Sに対してのみILSFの校正を可能とします。TANSO-FTSの全バンドは、共通の円形絞りを共有し、後部光学系はしっかりと取り付けられているため、バンド1、3、4の軌道上ILSFを推定することができます。

下図は、周波数6460 cm-1の搭載装置関数校正レーザーを使用するデータの長期安定性を示します。温度制御のない搭載ダイオードレーザーの周波数は一定ではなく、また、太陽照度拡散板を均一に照らすことはできませんが、ILSFの形状そのものは打ち上げ後非常に安定しています。これは、分光分解能に有意な変化が見られないことを示します。

図 1(b)
軌道上で2009年3月から2010年4月まで、周波数6460 cm-1の搭載ダイオードレーザーを用いて毎月取得されたILSFを上書きしたもの。

絶対分光校正

FTS機構部のサンプリングレーザー出力レベルと太陽フラウンホーファー線の位置を慎重に監視することにより、レーザー信号検出レベルの漸減とフラウンホーファー線の波数の見かけ上の増加を観測しました。レーザー信号検出レベルの劣化は指数関数的で、年間10%より小さく、速度は落ちてきています。10年間の運用後も、レーザーには十分に制御可能なレベルであると推定されます。レーザー信号検出レベル低下とフラウンホーファー波数の見かけ上の増加には関連があると考えられます。全バンドは同じ分光校正特性を持っているので、最も考えられる原因は軌道上のレーザー光線の光学的な位置関係の変化です。その結果、レーザー検出器の照度が弱くなり、最大光路差が大きくなり、分光分解能が若干高くなります。絶対的な分光位置は、経時的な分光補正係数を適用することによって校正可能です:

(1)

ここで、は補正前後の波数、は校正係数および打ち上げからの時間です。打ち上げからの変化は10 ppm未満で、分光分解能への影響は無視できる程度に小さいです。

図  18
打ち上げからの日数の関数としてのスペクトル校正係数

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