陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)データを利用した森林監視の成果について

このたび、米国ウッズホール研究所(*1)が衛星画像を用いて全熱帯森林・非森林域のデータセットを作成・配布するにあたり、宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)はこの研究における中心的な共同研究機関として、「だいち」搭載のフェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR; パルサー)(*2)のデータをこのウッズホール研究所に提供しました。これにより、森林の減少、森林の管理、森林資源の管理が可能になる重要な成果物ができることになりました。
なお、JAXAでは本研究と類似する研究を「京都・炭素観測計画(*3)」として実施しており、Web上で類似の成果物(*4)を公開しております。

今回の成果物

a) 2007年度に「だいち」搭載のパルサーが観測した高分解能の雲なし画像。

b) パルサー画像から作成した森林分布基本図(その後の年次変化抽出のベースになるもの)。

c) 光学センサー(MODIS; NASAセンサ)とライダー(GLAS)を用いた中分解能でのバイオマスマップ。

これらは今後の地球環境の監視に重要なものです。(成果物の一例は【図】参照)


(*1) ウッズホール研究所
この研究所は森林、土壌、水資源と気候の変動が人間の健康や経済の繁栄へどう影響するかを調べ、それらの保全についての解決方法を見いだす研究機関です。研究はアマゾン、北極圏、アフリカ、ロシア、アジア、北アメリカを対象とし、全球的な炭素循環、森林の機能、陸域、土地利用、水循環、環境内の化学変化について、町レベルから国レベルまで幅広い共同研究を行います。今回の成果物の作成にあたっては米国google社もその研究に賛同し、スポンサーとなっています。

http://blog.google.org/2008/10/more-than-14m-for-genetic-and-digital.html

(*2) フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR; パルサー)
衛星から発射した電波の反射を受信するマイクロ波センサで、夜や曇天時も撮影が可能です。使用する電波が天候の影響を受けないこと、また、森林の葉の隙間を透過して、一部が地表面まで到達するという特徴を持っており、森林下部の状態を観測するのに適しています。

(*3) 京都・炭素観測計画(K&C)
このプロジェクトは、世界の関連機関との協力の下、世界の陸地の約3割を占める森林やその周辺、湿地帯や砂漠について、その長期的な変動や季節的な変動を、「だいち」に搭載したPALSARを用いて広範囲に観測し、データ解析や現地調査をもとに、地球環境変化との関連を調べることを目的としたものです。JAXAでは南アメリカ(アマゾン)、東南アジア、中央アフリカの熱帯雨林、シベリア、カナダ、アラスカに分布する北方林、などを含め世界規模で観測します。ウッズホール研究所もこの関連機関の1つです。

(*4)京都・炭素観測計画(K&C)におけるJAXA類似成果物
類似の成果物の一例は以下の京都・炭素観測計画サイトからご覧いただけます。

http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/kc_mosaic/jkc_mosaic.htm

問い合わせ先:
宇宙航空研究開発機構 広報部
〒100-8260 東京都千代田区丸の内1-6-5 丸の内北口ビルディング
Tel. 03-6266-6413~7 Fax. 03-6266-6910

図: PALSARデータを使用して作成した森林(緑)、非森林域(青)の分類

図: PALSARデータを使用して作成した森林(緑)、非森林域(青)の分類
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