陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)によるニュージーランド地震に関する観測結果について(2)

平成21年7月15日(日本時間、以下同じ)にニュージーランド南西部で発生したマグニチュード7.6(USGS発表)の地震による被害状況を把握する為に、宇宙航空研究開発機構(以下JAXA)は地震後の7月23日に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)による現地の観測を実施しました。本観測では、平成20年7月20日に取得した同じ軌道からの画像を使用し、差分干渉処理による地殻変動状況の把握を試みました。「だいち」は北から南へ飛行しながら、震央付近の領域を観測しました 。(図2)

図1左:2009年7月15日に発生したニュージーランド南西部地震震央付近の領域を陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)により地震後の観測画像(2009年7月23日)と地震前(2008年7月20日)に取得した同じ軌道からの画像を使用して作成した差分干渉処理画像
図1右:陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)により地震後(2009年7月23日)に観測されたニュージーランド南西部地震(2009年7月15日発生)震央付近の領域

図1: (左)PALSAR差分干渉画像。(右)地震後PALSAR強度画像。
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図1左は地震前と地震後のPALSARデータから得られた差分干渉画像、図1右は南北約150kmに渡る地震後の強度画像を示したものです。図1左では震央付近を中心とする同心円状の干渉縞が確認でき、少なくとも5.5周期=64.9cmの衛星から遠ざかる向きの地殻変動があったことが分かります。今回の「だいち」による観測から、本地震に伴って広範囲に渡る地殻変動が生じたことが確認できました。

JAXAでは今後も「だいち」によるニュージーランド地震に関する観測を継続していく予定です。

図2:今回の陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)により観測された範囲(赤枠)と、図1の切り出し位置(青枠)。

図2: 全体図
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(注1) 震央に対して十分に離れた地点から、干渉縞の中心(震央付近)に向かって、青→赤→黄→緑→青の色の変化(青の領域から青の領域まで、ここまでで1周期=11.8cm。この順番の色の変化は地面が衛星から遠ざかる変動を表わします)が約5.5周期確認されるため、11.8cm×5.5周期=64.9cmの地殻変動があったと推定されます。

関連情報:
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