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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による東日本大震災の緊急観測結果(10)

2011年3月11日14時46分頃、東北地方の太平洋沖で国内観測史上最大となるマグニチュード9.0と推定される地震が起こりました。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、2011年3月12日、3月14日、3月16日に引き続き3月17日10時35分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*1により、現地の緊急観測を実施しました。17日の観測は、宮城県付近は雲に覆われていましたが、岩手県および福島県以南の沿岸付近を確認することができました。

図1:2011年3月17日10時35分頃(日本時間)に観測したアブニール・ツー画像(ポインティング角度: 16度、黄色枠:図2~18,20の範囲)

図1: 今回観測した画像全体 (クリックで拡大画像へ)
観測日時: 2011年3月17日10時35分頃(日本時間)
センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー)
ポインティング角: 16°
黄色枠: 図2〜18、20の範囲

図1は今回観測した画像全体の様子を示したもので、アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており人の目で見た色に近くなっています。明るい白色は雪や雲です。

図2:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで観測された岩手県久慈市付近の冠水の様子(約5km×5kmのエリア、左:地震後(2011年3月17日)、右:地震前(2011年3月10日))

図2: 岩手県久慈市付近の冠水の様子(約5km×5kmのエリア)
左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年3月10日)
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図2は地震後の2011年3月17日と地震前の2011年3月10日に観測された画像から岩手県久慈市付近を拡大したものです。アブニール・ツーのバンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており、植生(赤色)と雲(白色)が明瞭に区別できるため、地表面の様子をとらえることができます。黄枠で示した海岸線沿いの多数の建物が津波により倒壊している様子が分かります。

図3:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで観測された岩手県大槌町の冠水の様子(約12km×12kmのエリア、左図:地震後(2011年3月17日)、中央図:地震後(2011年3月14日)、右図:地震前(2011年2月23日))

図3: 岩手県大槌町の冠水の様子(約12km×12kmのエリア)
左図:地震後(2011年3月17日)、中央図:地震後(2011年3月14日)、右図:地震前(2011年2月27日)
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図3は地震後の2011年3月17日と2011年3月14日、地震前の2011年2月27日に観測された画像から、岩手県大槌町付近を拡大したものです。平野部で未だ冠水している様子が分かります。

図4:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで観測された宮城県亘理町から福島県新地町にかけての冠水の様子(約20km×20kmのエリア、左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年2月23日)) 図4左:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで地震後の2011年3月17日に観測された宮城県亘理町から福島県新地町にかけての冠水の様子(約20km×20kmのエリア) 図4右:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで地震前の2011年2月23日に観測された宮城県亘理町から福島県新地町にかけての様子(約20km×20kmのエリア)

図4: 宮城県亘理町から福島県新地町にかけての冠水の様子(約20km×20kmのエリア)
左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年2月23日)
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図4は地震後の2011年3月17日と地震前の2011年2月23日に観測された画像から、宮城県亘理町、山元町、福島県新地町付近を拡大したものです。海岸線沿いの多数の建物が倒壊し、いまだ広範囲に冠水している様子が分かります。

図5:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで観測された福島県相馬市付近の様子(約12km×12kmのエリア、左図:地震後(2011年3月17日)、中央図:地震後(2011年3月14日)、右図:地震前(2011年2月27日))

図5: 福島県相馬市付近の様子(約12km×12kmのエリア)
左図:地震後(2011年3月17日)、中央図:地震後(2011年3月14日)、右図:地震前(2011年2月27日)
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図5は地震後の2011年3月17日と2011年3月14日、地震前の2011年2月27日に観測された画像から、福島県相馬市付近を拡大したものです。いまだ広範囲に冠水している様子が分かります。

図6:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで観測された福島県南相馬市付近の様子(約6km×6kmのエリア、左図:地震後(2011年3月17日)、中央図:地震後(2011年3月14日)、右図:地震前(2011年2月23日))

図6: 福島県南相馬市付近の様子(約6km×6kmのエリア)
左図:地震後(2011年3月17日)、中央図:地震後(2011年3月14日)、右図:地震前(2011年2月23日)
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図6は地震後の2011年3月17日と2011年3月14日、地震前の2011年2月23日に観測された画像から、福島県南相馬市付近を拡大したものです。画像上部の冠水域は減少していますが、黄枠で示した冠水域は、災害後の3月14日と3月17日で比較すると、14日に中央付近で見られた道路が17日には確認できないことから、水位が上昇している可能性があります。

図7:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで観測された福島県浪江町、双葉町付近の様子(約6km×6kmのエリア、左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年2月23日))

図7: 福島県浪江町、双葉町付近の様子(約6km×6kmのエリア)
左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年2月23日)
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図7は地震後の2011年3月17日と地震前の2011年2月23日に観測された画像から、福島県浪江町、双葉町付近を拡大したものです。海岸線沿いの多数の建物が倒壊し、いまだ広範囲に冠水している様子が分かります。

図8:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで観測された福島県大熊町付近の様子(約4km×4kmのエリア、左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年2月23日))

図8: 福島県大熊町付近の様子(約4km×4kmのエリア)
左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年2月23日)
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図9:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで観測された福島県富岡町付近の様子(約5km×5kmのエリア、左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年2月23日))

図9: 福島県富岡町付近の様子(約5km×5kmのエリア)
左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年2月23日)
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図8と図9は地震後の2011年3月17日と地震前の2011年2月23日に観測された画像から、それぞれ福島県大熊町付近と福島県富岡町を拡大したものです。黄枠で示した沿岸部の多数の建物が倒壊している様子が分かります。

図10:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで観測された福島県楢葉町付近の様子(約6km×6kmのエリア、左図:地震後(2011年3月17日)、中央図:地震後(2011年3月14日)、右図:地震前(2011年2月23日))

図10: 福島県楢葉町付近の様子(約6km×6kmのエリア)
左図:地震後(2011年3月17日)、中央図:地震後(2011年3月14日)、右図:地震前(2011年2月23日)
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図11:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで観測された福島県いわき市久野浜町付近の様子(約5km×5kmのエリア、左図:地震後(2011年3月17日)、中央図:地震後(2011年3月14日)、右図:地震前(2011年2月23日))

図11: 福島県いわき市久野浜町付近の様子(約5km×5kmのエリア)
左図:地震後(2011年3月17日)、中央図:地震後(2011年3月14日)、右図:地震前(2011年2月23日)
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図10と図11は地震後の2011年3月17日と2011年3月14日、地震前の2011年2月23日に観測された画像から、福島県楢葉町と福島県いわき市久野浜町付近を拡大したものです。今回の観測は3月14日に比べてより良い観測条件であったため、黄枠内で多数の建物が倒壊している様子が分かります。

図12:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで観測された福島県いわき市たいら付近の様子(約6km×6kmのエリア、左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年2月23日))

図12: 福島県いわき市たいら付近の様子(約6km×6kmのエリア)
左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年2月23日)
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図12は地震後の2011年3月17日と地震前の2011年2月23日に観測された画像から、福島県いわき市たいら付近を拡大したものです。黄枠内で多数の建物が倒壊している様子が分かります。

図13:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで観測された茨城県北茨城市大津港付近の様子(約3km×3kmのエリア、左図:地震後(2011年3月17日)、中央図:地震後(2011年3月14日)、右図:地震前(2011年2月23日))

図13: 茨城県北茨城市大津港付近の様子(約3km×3kmのエリア)
左図:地震後(2011年3月17日)、中央図:地震後(2011年3月14日)、右図:地震前(2011年2月23日)
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図13は地震後の2011年3月17日と2011年3月14日、地震前の2011年2月23日に観測された画像から、茨城県北茨城市付近を拡大したものです。今回の観測は3月14日に比べて観測角度が小さいため、黄枠内で多数の建物が倒壊している様子がより明確に分かります。

図14:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで観測された茨城県日立市日立港の様子(約2km×2kmのエリア、左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年2月23日))

図14: 茨城県日立市日立港の様子(約2km×2kmのエリア)
左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年2月23日)
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図14は地震後の2011年3月17日と地震前の2011年2月23日に観測された画像から、茨城県日立市日立港付近を拡大したものです。黄枠で示した埠頭は、日立港の第5埠頭で、輸出入車両や非鉄金属等が扱われているということですが、津波によって日立港から積荷が流されたという報道がありました。画像からも地震前にはあった船の積荷と思われるものが地震後にはなくなっているのが分かります。

図15:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで観測された茨城県大洗町大洗港の様子(約2km×2kmのエリア、左図:地震後(2011年3月17日)、中央図:地震後(2011年3月14日)、右図:地震前(2011年2月23日))

図15: 茨城県大洗町大洗港の様子(約2km×2kmのエリア)
左図:地震後(2011年3月17日)、中央図:地震後(2011年3月14日)、右図:地震前(2011年2月23日)
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図15は地震後の2011年3月17日と2011年3月14日、地震前の2011年2月23日に観測された画像から、茨城県大洗町大洗港付近を拡大したものです。今回の観測は3月14日に比べてより良い観測条件であったため、黄枠で示した魚市場の建物が失われている様子がより明確に分かります。

図16:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで観測された千葉県銚子市銚子マリーナの様子(約2km×2kmのエリア、左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年2月27日))

図16: 千葉県銚子市銚子マリーナの様子(約2km×2kmのエリア)
左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年2月27日)
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図16は地震後の2011年3月17日と地震前の2011年2月27日に観測された画像から銚子マリーナ付近を拡大したものです。黄枠で示した部分には地震前に小型船が並んでいますが、地震後の画像ではなくなっているのがわかります。また、マリーナ周辺の植生が減少していることも、津波の影響と思われます。

図17:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで観測された千葉県旭市の海岸の様子(約2km×2kmのエリア、左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年2月23日))

図17: 千葉県旭市の海岸の様子(約2km×2kmのエリア)
左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年2月23日)
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図17は地震後の2011年3月17日と地震前の2011年2月23日に観測された画像から千葉県旭市の西丁、仁玉の海岸付近を拡大したものです。黄枠で示した部分は地震前には芝生があったと思われるところ(薄いオレンジ色)が灰色になっており、津波の被害をうけている様子を確認できます。

図18:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで観測された千葉県幕張海浜公園の様子(約3km×3kmのエリア、左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年2月23日))

図18: 千葉県幕張海浜公園の様子(約3km×3kmのエリア)
左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年2月23日)

図19:幕張海浜公園の液状化の様子(2011年3月18日撮影)

図19: 幕張海浜公園の液状化の様子(2011年3月18日撮影)

図18は地震後の2011年3月17日と地震前の2011年2月23日に観測された画像から海浜幕張駅付近を拡大したものです。黄枠で示した部分が地震後に灰色部分が広がっており、液状化現象が起こっていることがわかります。図19に2011年3月18日に撮影した現地の写真を参考に示します。

図20:陸域観測技術衛星「だいち」搭載センサ、アブニール・ツーで観測された千葉県市原市の石油製油所の様子(約3km×3kmのエリア、左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年2月23日))

図20: 千葉県市原市の石油製油所の様子(約3km×3kmのエリア)
左図:地震後(2011年3月17日)、右図:地震前(2011年2月23日)

図20は地震後の2011年3月17日および地震前の2011年2月23日に観測された画像から千葉県市原市にある石油製油所付近を拡大したものです。黄枠で示した場所が地震後黒く変色しており、火災の跡であることがわかります。

取得された画像は、内閣府を始めとする防災関係省庁、地方自治体等に提供しています。
なお、JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):
青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、衛星進行方向に対して東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像は東側に16度で取得しました。

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