ALOSによる災害観測

陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるスロベニア洪水被害の緊急観測結果

東ヨーロッパのスロベニアにおいて、2010年9月17日から起きた集中豪雨により洪水の被害が発生しました。宇宙航空研究開発機構（JAXA）では、2010年9月24日19時3分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」（ALOS）搭載の高性能可視近赤外放射計2型（アブニール・ツー）*により現地の観測を実施しました。

図1:スロベニアのアブニール・ツー画像(ポインティング角度: 0度、緑色枠: 図2、3、4の範囲)、2010年9月24日19時3分頃(日本時間)観測

図1:今回観測した画像全体 (クリックで拡大画像へ)
観測日時: 2010年9月24日19時3分頃(日本時間)
センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー)
ポインティング角: 0°
緑色枠: 図2、3、4の範囲

図1は今回観測した画像全体の様子を示したもので、アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており人の目で見た色に近くなっています。白く見えるのは雲ですが、雲間から被害箇所を観測することができました。

図2:スロベニアPrikrnica付近の増水の様子(約4km×4kmのエリア)。左：災害後(2010年9月24日)、右：災害前(2010年7月11日)

図2: Prikrnica付近の増水の様子(約4km×4kmのエリア)
左：災害後(2010年9月24日)、右：災害前(2010年7月11日)
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図3:スロベニアCerknica付近の増水の様子(約16km×16kmのエリア)。左：災害後(2010年9月24日)、右：災害前(2010年6月24日)

図3: Cerknica付近の増水の様子(約16km×16kmのエリア)
左：災害後(2010年9月24日)、右：災害前(2010年6月24日)
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図4:スロベニアRibnica付近の増水の様子(約12km×12kmのエリア)。左：災害後(2010年9月24日)、右：災害前(2010年6月24日)

図4: Ribnica付近の増水の様子(約12km×12kmのエリア)
左：災害後(2010年9月24日)、右：災害前(2010年6月24日)
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図2は、首都Ljubljanaの北東に位置するPrikrnica付近において、災害後の2010年9月24日および災害前の2010年7月11日に観測された画像から、冠水している箇所を拡大した画像です。
図3はLjubljanaの南西に位置するCerknica付近、図4はLjubljana の南東に位置するRibnica付近において、災害後の2010年9月24日および災害前の2010年6月24日に観測された画像から、冠水している箇所を拡大したものです。
アブニール・ツーのバンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており、植生（赤色）と冠水域（水色）が明瞭に区別できます。
災害前後の画像を比較すると、黄色枠内において農耕地が広範囲にわたり冠水している様子が確認できました。

なお、取得された画像は、国際災害チャータの枠組みにより、スロベニア民間保護及び災害援助部へ提供されます。

* 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):
青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像および2010年6月24日、2010年7月11日の画像は0度で取得しました。

©JAXA EORC