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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による中国甘粛省土砂災害の緊急観測結果

2010年8月8日、中国北西部の甘粛(かんしゅく)省甘南(かんなん)チベット族自治州舟曲(どぅくちゅ)県で大規模な土石流が発生し、甚大な被害が出ています。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では2010年8月10日13時13分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*により現地の緊急観測を実施しました。

図1:2010年8月10日13時13分頃(日本時間)に観測した中国北西部甘粛省甘南チベット族自治州舟曲県のアブニール・ツー画像(ポインティング角度: 31度、ピンク枠: 図2、3の範囲)

図1:今回観測した画像全体
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観測日時: 2010年8月10日13時13分頃(日本時間)
センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー)
ポインティング角度: 31°
ピンク枠: 図2、3の範囲

図1は今回観測した画像全体の様子を示したものです。アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラーで表示しており、人の目で見た色に近く見えます。白く見えるのは雲ですが、雲の隙間から土砂災害のあった箇所を確認することができました。

図2:土砂崩れが発生した三眼村付近の拡大(それぞれ4km四方)。左:2010年8月10日(災害発生後)、右:2010年3月10日(災害発生前)

図2: 土砂崩れが発生した三眼村付近の拡大(それぞれ4km四方)
左:2010年8月10日(災害発生後)、右:2010年3月10日(災害発生前)
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図2は、2010年8月10日観測の画像と災害発生前の2010年3月10日の画像を比較したものです。バンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており植生が赤く見えるため、土砂崩れなどにより植生が失われたところを明確にとらえることができます。黄色丸で囲ったところは、土砂崩れが発生し南側の白竜江へ流れて落ちているように見えます。報道されています土石流や瓦礫でせき止められた白竜江の増水は、3度に渡る爆破により解消されたように見えます。また緑枠の橋は、今回の災害により崩れたように見えます。

図3:土砂崩れが発生した没水山付近の拡大(それぞれ4km四方)。左:2010年8月10日(災害発生後)、右:2010年3月10日(災害発生前)

図3: 土砂崩れが発生した没水山付近の拡大(それぞれ4km四方)
左:2010年8月10日(災害発生後)、右:2010年3月10日(災害発生前)
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図3は、2010年8月10日観測の画像と災害発生前の2010年3月10日の画像を比較したものです。黄色丸で囲ったところは、土砂崩れおよび土石流跡のように見えます。

JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。
なお取得された画像は、国際災害チャータの枠組みにより中国国家気象局に、センチネルアジアの枠組みにより中国国家地震局に提供されています。

* 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):
青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像は西側から31度で取得しました。

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