陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)による中国四川省で発生した地震に関する観測結果について(2)

平成20年5月12日(日本時間、以下同じ)に中国四川省で発生したマグニチュード8.0の大地震に関する被害状況を把握する為に、宇宙航空研究開発機構(以下JAXA)は、平成20年5月25日(同年5月24日UTC)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)による現地の緊急観測を実施しました。本観測は、平成20年4月9日(同年4月8日UTC)に取得した同じ軌道からの画像を使用し、差分干渉処理によって地殻変動状況を把握いたしました。「だいち」は、南から北に向かって飛行し、平野部(含む、雅安市、Yaan市)から山岳地帯に入ったところで震源を観測しました(図3)。

図1:陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)による平成20年5月25日(同年5月24日UTC)観測の中国四川省大地震被災地域。左は地震前と地震後を比較した差分干渉画像、右は南北700kmにわたる地震後の画像を示したもの。

図1: 左:PALSAR差分干渉画像 右:地震後南北700km画像
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図1左は地震前と地震後を比較した差分干渉画像、右は南北700kmにわたる地震後の画像を示したものです。この画像からは震源付近(赤丸で表示)の北側で目玉状の変動が,また画像全体700kmに渡って大きな変動が生じていることがわかります。


図2:図1の地震前と地震後を比較した差分干渉処理画像拡大図(南北200km×東西75km)

図2: 南北200km×東西75km 干渉画像(拡大図)
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震源近傍約200km×75kmを拡大したものが図2で、断層運動による変動の様子をより細かく把握する事ができます。最も変動が大きいと思われる震源や断層直上、またその近傍では、変動が大きすぎて変動量の抽出が困難です(虹色が不明瞭で、これを干渉度が低いと言います)が、その領域の北側には直径約70kmの目玉状の沈降領域があることがわかります。今回の地震で大きな地殻変動が生じたことが衛星による観測から確認できました。

(注) 青 → 緑 → 黄 → 赤 → 青(青い領域から青い領域まで、ここまでで1周期=11.8cmの変動)の順番の色の変化は、衛星に近づく変動を表わします。

図3:観測地域全体図

図3: 全体図

JAXAでは今後も「だいち」による被災地の観測を継続して実施していく予定です。

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