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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による近畿地方豪雨の緊急観測

停滞した梅雨前線の影響により近畿地方で大雨が降り、各地で土砂崩れなどの被害が出ました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では2010年7月18日10時45分頃(日本時間、以下同じ)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*1により現地の緊急観測を実施しました。

図1は今回観測した画像全体の様子を示したものです。アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラーで表示しており、人の目で見た色に近く見えます。白く見えるのは雲です。

図1:2010年7月18日10時45分頃(日本時間)観測した近畿地方ののアブニール・ツー画像全体図(ポインティング角度: -8.0度、黄色枠:図2〜4の範囲)

図1:今回観測した画像全体
観測日時: 2010年7月18日10時45分頃(日本時間)
センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー)
ポインティング角度: -8.0°
黄枠: 図2〜4の範囲

図2〜4は大阪府と和歌山県の県境付近を拡大したものです。バンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており植生が赤く見えるため、土砂崩れなどにより植生が失われたところを明確にとらえることができます。災害前の2010年5月21日に観測された画像と比較すると、災害後の7月18日に観測された画像では黄色枠で示した箇所で植生域が減少していることがわかります。これは、土砂崩れによって植生が失われたのではないかと考えられます。

図2:和歌山県伊都郡かつらぎ町短野付近の拡大(それぞれ1km四方)。左:災害発生後(2010年7月18日)、右:災害発生前(2010年5月21日)

図2: 和歌山県伊都郡かつらぎ町短野付近の拡大(それぞれ1km四方)
左:災害発生後(2010年7月18日)、右:災害発生前(2010年5月21日)

図3:和歌山県伊都郡かつらぎ町東谷の拡大(それぞれ1km四方)。左:災害発生後(2010年7月18日)、右:災害発生前(2010年5月21日)

図3: 和歌山県伊都郡かつらぎ町東谷の拡大(それぞれ1km四方)
左:災害発生後(2010年7月18日)、右:災害発生前(2010年5月21日)

図4:大阪府河内長野市天見の拡大(それぞれ1km四方)。左:災害発生後(2010年7月18日)、右:災害発生前(2010年5月21日)

図4: 大阪府河内長野市天見の拡大(それぞれ1km四方)
左:災害発生後(2010年7月18日)、右:災害発生前(2010年5月21日)

取得された画像は内閣官房、内閣府、警察庁、消防庁、防衛省、国土交通省、国土交通省国土技術政策総合研究所、国土交通省国土地理院、気象庁、海上保安庁、独立行政法人土木研究所、和歌山県へ提供しました。
JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー): 青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像は東側から8度で取得しました。

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