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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による広島県豪雨の緊急観測(2)

2010年7月16日、広島県庄原市で1時間に72mmの記録的な集中豪雨があり、河川の氾濫や土石流が発生し甚大な被害が出ています。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では2010年7月19日、7月20日に引き続き7月21日11時9分頃(日本時間、以下同じ)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*1により現地の緊急観測を実施しました。

図1は今回観測した画像全体の様子を示したものです。アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラーで表示しており、人の目で見た色に近く見えます。白く見えるのは雲ですが、雲の隙間から土砂災害のあった箇所を確認することができました。

図1:2010年7月21日11時9分頃(日本時間)に観測した広島県北東部・岡山・島根・鳥取の県境付近のアブニール・ツー画像(ポインティング角度: 15度、黄色枠:図2、4の範囲)

図1:今回観測した画像全体
観測日時: 2010年7月21日11時9分頃(日本時間)
センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー)
ポインティング角度: 15°
黄枠: 図2、4の範囲

図2は土石流の発生した庄原市西城町付近を拡大したもの、図3は図2の一部をさらに拡大したものです。バンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており植生が赤く見えるため、土石流などにより植生が失われたところを明確にとらえることができます。7月20日には雲の影響で見えなかった箇所が、7月21日の観測で確認することができました。

図2:土石流の発生した庄原市西城町付近の拡大(それぞれ6km四方)。左:災害発生後(2010年7月21日)、中:災害発生後(2010年7月20日)、右:災害発生前(2009年6月26日)

図2: 土石流の発生した庄原市西城町付近の拡大(それぞれ6km四方)
左:災害発生後(2010年7月21日)、中:災害発生後(2010年7月20日)、右:災害発生前(2009年6月26日)

図3:土石流の発生した西城町の拡大(それぞれ2km四方)。左:災害発生後(2010年7月21日)、中:災害発生後(2010年7月20日)、右:災害発生前(2009年6月26日)

図3: 土石流の発生した西城町の拡大(それぞれ2km四方)
左:災害発生後(2010年7月21日)、中:災害発生後(2010年7月20日)、右:災害発生前(2009年6月26日)

図4は惣ヶ谷川付近を拡大したものです。災害後の7月20日の画像では雲の影響ではっきりと確認できませんでしたが、7月21日の画像では土砂が流出している様子を確認することができました。

図4:惣ヶ谷川の拡大(それぞれ1km四方)。左:災害発生後(2010年7月21日)、中:災害発生後(2010年7月20日)、右:災害発生前(2009年6月26日)

図4: 惣ヶ谷川の拡大(それぞれ1km四方)
左:災害発生後(2010年7月21日)、中:災害発生後(2010年7月20日)、右:災害発生前(2009年6月26日)

取得された画像は内閣官房、内閣府、警察庁、消防庁、防衛省、国土交通省、国土交通省国土技術政策総合研究所、気象庁、海上保安庁、独立行政法人土木研究所へ提供しました。
JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー): 青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。2010年7月21日の画像は西側から15度で取得しました。

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