陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるチリ・ジャイマ火山噴火における緊急観測結果

2009年4月4日に、チリのジャイマ火山が噴火しました。宇宙航空研究開発機構(以下, JAXA)では4月11日23時42分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による現地の緊急観測を実施しました。

図1:2009年4月11日に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)により観測されたチリ・ジャイマ火山付近

図1: 2009年4月11日に取得した画像全体
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取得日時: 2009年4月11日 23時42分頃(日本時間)
センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー)
ポインティング角度: 0.0°

図1は今回撮られた高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)画像の位置を表したもので、赤の四角はそれぞれ図2〜4のおよその範囲を示しています。白く見えるのは主に雲です。

図2:2009年4月11日に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)により取得したラグーナ・ベルデ付近の拡大図、左: 噴火後(2009年4月11日観測)、右: 噴火前(2009年2月24日観測、それぞれ約3.5km四方、黄色丸は溶岩によって湖が埋まっているところ)

図2: ラグーナ・ベルデ付近の拡大図
左:噴火後(2009年4月11日観測)、右:噴火前(2009年2月24日観測)

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(それぞれ約3.5km四方、黄色丸は溶岩によって湖が埋まっているところ)

図2はそれぞれジャイマ火山北東にあるラグーナ・ベルデという名前の湖付近の拡大図で、左が噴火後の2009年4月11日、右が今回の噴火前の2009年2月24日に撮られた画像です。噴火後の画像では薄い雲がかかっていますが、湖の一部が溶岩もしくは火山堆積物によって埋まり、湖の形が変わっている様子が分かります。また、湖の近くを通る道路も溶岩に覆われたためか、噴火後の画像では見えなくなっています。

図3:2009年4月11日に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)により取得したジャイマ火山南東の拡大図、左:噴火後(2009年4月11日観測)、右:噴火前(2009年2月24日観測)各約3.5km四方, 黄色丸は溶岩によって道路が寸断されていると思われるところ

図3: ジャイマ火山南東の拡大図
左:噴火後(2009年4月11日観測)、右:噴火前(2009年2月24日観測)

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(それぞれ約3.5km四方、黄色丸は溶岩によって道路が寸断されていると思われるところ)

図3はジャイマ火山南東の拡大図で、図2と同様に噴火前の画像を比較用として並べています。噴火前の画像にはジャイマ火山の周囲を走る道路がはっきりと見えますが、噴火後の画像では北側に行くにつれ見え辛くなります。今回の噴火により噴出した溶岩または火山灰に覆われ、道路が寸断されていると思われます。

図4:2009年4月11日に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)により取得したジャイマ火山噴火口付近の拡大図、左:噴火後(2009年4月11日観測)、右:噴火前(2009年2月24日観測)各約6km四方

図4: 噴火口付近の拡大図(それぞれ約6km四方)
左:噴火後(2009年4月11日観測)、右:噴火前(2009年2月24日観測)

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図4はジャイマ火山の噴火口付近の拡大図です。噴火口周辺の雪が溶岩もしくは火山灰によって覆われている様子が分かります。噴火口付近が全体的に黒く変色しており、今回の噴火による影響だと考えられます。
噴火当時、風は西から東へ吹いており、灰は火山の東側に積もっていると考えられますが、今回は火山の西側を主に観測していたため、降灰の影響については確認することができませんでした。

なお、JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

関連情報: 地球が見える -チリ南部アラウカニアの火山と氷、地球観測研究センター

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