データ利用研究
RADARSATによる新潟県中越地震干渉解析結果 平成16年10月29日

図 1:レーダーサットによる新潟県中越地震干渉解析画像
図1:レーダーサットによる新潟県中越地震干渉解析画像。
図中震源分布は防災科研データを参照
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図 2:新潟県中越地方のレーダーサット画像
図2:新潟県中越地方のレーダーサット画像
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使用画像:レーダーサット1号、2004年10月25日、9月7日受信
周波数:Cバンド(5.6cm)、水平偏波、軌道間距離468メートル、入射角38度

解析手法:差分干渉処理

図1は、平成16年10月23日午後6時頃、新潟県小千谷市を中心に発生した震度7の新潟県中越地震によって生じた新潟県中央部の地殻変動量を平成16年9月7日と同年10月25日に観測運用したレーダーサット衛星データを差分干渉処理し検出したものです。また、図2は同じ領域のSAR再生画像をあらわします。
画像は観測幅45km、衛星進行方向160kmの領域を写しており、画像の北端は新潟県新潟市、中央部は地震の震源である小千谷市、山古志村を、南端は群馬県渋川市を含みます。本画像は地殻変動量の衛星方向成分を色付けしたもので、色の一周期は2.8センチメートルに対応します。紫色から黄色への変化は地面が衛星に近づくことを、逆は遠ざかることを示します。色の変化が激しいところ(しわが多いところ)は地殻変動が大規模なこと、色の変化が少ないところあるいは緑色のところは変化が小さいか、無いことを表します。衛星は南下しながら進行方向右下を、入射角38度で観測しました(図3参照)。

既報道によりますと、震源は小千谷市を含む三カ所で、断層(線A)の東側が西側に最大1.8メートル潜り込んでいます。つまり、震源の東側にある小出町、山古志村等が衛星から遠ざかり、西側にある長岡市、十日町等が衛星に近づいています(図3の断層変化に対応する干渉縞のパターン参照)。Cバンドレーダは森林への透過性が少なく、小千谷市東部・山古志村等山岳部は検出ができていませんが、長岡市以北の平野部、信濃川沿いの十日町や魚野川沿いの小出町では変動(色のしわ)が確認されます。図1から震源Aを中心とした変動の外部構造(特に西北側構造として多くの色のしわ)が読み取れ、小千谷周辺部で急激な地殻変動が発生したことが確認されます。
 
処理ソフトウェア:JAXA/EORC/SIGMA-SAR processor

図3:観測概念図を示す。図1内の断層Aに対応する干渉処理の色変化を示す。

図3:観測概念図を示す。
図1内の断層Aに対応する干渉処理の色変化を示す。


注1)差分干渉処理とは地殻変動等で生じた地面の隆起沈降量(衛星方向成分)を、二時期の画像から精密計測する方法です。
注2)©CSA,CCRS,受信処理RSI

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