データ利用研究事例
4. 土地利用·土地被覆分類
多時期JERS-1 SARを用いた植生型の分類
多時期のJERS-1 SAR画像を用いた植生型の分類

多時期JERS-1 SARの重ね合わせ画像

Fig. 1: 多時期JERS-1 SARの重ね合わせ画像(クリックで拡大画像へ)
(赤: 1992年9月21日,緑: 1993年6月12日, 青: 1994年8月24日).

植生型の分類図
植生型の分類図凡例

Fig. 2: 植生型の分類図(クリックで拡大画像へ)


タリム川中流域の位置 JERS-1 SAR画像を用いて中国北西部のタリム川中流域における植生型の分類を行った研究例です。Fig. 1は植生型分類に用いた多時期のSAR画像を彩色合成画像したもので(パス-ロウ:173-232)、一年おきに観測されたものです(1992年9月21日, 1993年6月12日, 1994年8月24日)。全シーンが春季の終わりから秋季の初めの間で観測され、植生の生長季節に取得されています。
この周辺では、河川の両側で森林、森林と流動砂丘の間に乾燥草原が分布していて牧草地として利用されています。光学センサを用いた場合は、植生型の分類が困難ですが、SAR画像を用いると植生型の分類が可能となります。すなわち、裸地、固定砂丘地(乾燥草原を含む)、森林、オアシスなど植生型が分類できます。この画像では、白色と緑色が密林・森林、黒色と青色は水域・湿地・裸地、黄色はオアシス・畑、赤色とピンク色は氾濫原を表わしています。8月の画像では、河川沿いの密林が6月と9月の画像より高い後方散乱断面積を生成しています。これは、洪水時の河川水のコーナーリフレクター効果によって生じた現象と思われます。8月と9月の画像では、オアシス(畑)域がより高い後方散乱断面積を生成しています。これは農作物の幹と土壌水分増加の影響と思われます。
この多時期SAR画像の解析より植生バイオマスとその季節変化のレーダシグナルに対する応答が明らかになりました。特に、植生の生長状態と季節変化により植生が異なるパターンで画像で表現され、散乱源の違いから、それらをいくつかのグループに分類できます。
Fig. 2は、JERS-1 SAR画像を用いて分類された植生型の分布図です。ここでは、彩色合成SAR画像(Fig. 1)に対して最尤法を用いて分類しました。分類結果と現地調査、および文献によるデータの比較から、この結果が現状とよく一致すること分かりました。これにより、JERS-1 SAR画像が植生型分類に対して潜在能力のあることが明らかになりました。

NASDA EORC編集JERS-1 Earth Viewより抜粋
©JAXA EORC

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