[速報]「だいち2号」による台風18号(温帯低気圧)の影響による豪雨の緊急観測について

概要:

  • 2015年9月9日から10日にかけて、台風18号(温帯低気圧に変化)の影響により豪雨が発生し、栃木県、茨城県などを中心に各地で河川の氾濫や土砂災害が発生。
  • JAXAでは国土交通省からの要請に基づき、9月10日午前11時43分頃に「だいち2号」による観測を実施した。
  • この結果、浸水域と見られる領域が複数見られた。

2015年9月9日から10日にかけて、台風18号(温帯低気圧に変化)の影響により豪雨が発生し、栃木県、茨城県などを中心に各地で河川の氾濫や土砂災害などの被害が発生しました。JAXAでは国土交通省からの要請に基づき、9月10日午前11時43分頃に「だいち2号」(ALOS-2)搭載のパルサー2(PALSAR-2)による緊急観測を実施し、国土交通省など防災関係機関にデータを提供しました。図1に今回のPALSAR-2による観測範囲を示します。

図1:PALSAR-2の観測範囲(2015年9月10日)
図1:PALSAR-2の観測範囲(2015年9月10日)

図2~3には、2015年9月10日午前11時43分頃に高分解能モード(分解能3m)で取得された画像と、洪水前の同年8月13日に同じ条件で取得された画像を、それぞれ赤色、水色に重ね合わせて色合成した画像を各地域について示します。これらの画像では、水色などの色がついているところが浸水などの変化が起きていることを示します。ただし、これらの変化の中には、2回の観測の間に稲が刈り取られたことなどによる農地の変化も含まれており、全てが災害に関係するものではない可能性があります。

図2は常総市付近の観測画像で、画像中央付近を流れるのが鬼怒川で、川幅が増大した部分が川沿いに暗い水色で示されており、また、川の東側のさらに暗い水色の領域は浸水している可能性があります(図中の黄色の円内の領域)。川の西側では農地の変化が明るい水色で示されていますが、これらの一部も浸水域の可能性があります。

図3は筑西市付近の画像で、同様に川幅が増大しており、周辺の暗い水色の領域は浸水域の可能性があります(図中の黄色の円内の領域)。

図2. 常総市付近の観測画像
図2. 常総市付近の観測画像(クリックして拡大)

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図3. 筑西市付近の観測画像
図3. 筑西市付近の観測画像(クリックして拡大)

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(以下2015年9月11日更新)

図4、5には、それぞれ常総市、筑西市付近の観測画像について、洪水前後の画像を比較しています。洪水後の画像は上記と同じ2015年9月10日、洪水前の画像は農地の見やすさの観点から2014年12月4日に観測した画像をここでは示します。

図4:PALSAR-2による常総市付近の洪水後の観測画像
図4:PALSAR-2による常総市付近の洪水前の観測画像
図4. 常総市付近の洪水前後の画像比較

マウス等の操作により、画像中央に現れるスライダを左右に移動することで、洪水前後の画像を視覚的に比較することができます(対応していないブラウザでは、単純に2つの画像が並べて表示されることがあります)。
* 対応ブラウザ: IE9 およびそれ以降、Safari5.1 およびそれ以降、Chrome、Firefox、Opera

KMZファイル: 洪水前 / 洪水後

図5:PALSAR-2による筑西市付近の洪水後の観測画像
図5:PALSAR-2による筑西市付近の洪水前の観測画像
図5. 筑西市付近の洪水前後の画像比較

KMZファイル: 洪水前 / 洪水後

関連情報:
2015/9/11: 全球降水観測計画(GPM)による2015年9月の秋雨前線に伴う大雨の観測

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