Posted: May 10, 2018, 4:00 (UTC)
Updated:May 15, 2018, 9:00 (UTC)
Updated:May 21, 2018, 8:00 (UTC)
概要
観測日(UTC) | 軌道番号 | 観測モード | 偏波 | 観測方向 | ビーム番号 | |
① | 2018年5月8日 | 89 | Stripmap 10m | HH+HV | 右 | F2-6 |
② | 2018年5月12日 | 185 | ScanSAR | HH+HV | 右 | W2 |
③ | 2018年5月17日 | 186 | ScanSAR | HH+HV | 右 | W2 |
図2は表1の①2018年5月8日の観測データと2018年2月27日のほぼ同時刻の観測データを用いた差分干渉画像です。
この画像において、色は衛星視線方向(Illumination)の地表面の変位量を表し、地表が衛星に近づく方向に動いた場合には青色(寒色系)、
衛星から遠ざかる方向に動いた場合は赤色(暖色系)に変化することを意味しています。
この解析結果では、画像のほぼ中央を境にして、北側ではレイラニ・エステート(Leilani Estates)近郊で最大70 cm程度の衛星に近づく変動(隆起もしくは西向き)、
南側では最大60 cm程度の衛星から遠ざかる変動(沈降もしくは東向きの変動)が観測されました。
図3は図2と同様の観測データを用いたMultiple Aperture Interferometry画像です。Multiple Aperture Interferometry(MAI)は衛星進行方向の変位量を表し、
地表が衛星進行方向と同じ方向に動いた場合は赤色(暖色系)、逆向きに動いた場合には青色(寒色系)に変化することを意味しています。
この解析結果では、画像のほぼ中央を境にして、北側ではレイラニ・エステート(Leilani Estates)近郊で最大70 cm程度の衛星進行方向(ほぼ北向き)の変動、
南側では最大110 cm程度の衛星進行方向と逆向き(ほぼ南向き)に遠ざかる変動が観測されました。
図4は、赤色に2月27日のHV偏波、緑色に5月8日のHV偏波、青色に5月8日のHH偏波の強度画像を割りあてた色合成画像で、
火口の割れ目や溶岩流が赤色に見える着色になっています(図4の赤い矢印の部分)。
この画像ではレイラニ・エステート(Leilani Estates)付近で赤色のシグナルが見えています。
図5は表1の②2018年5月12日の観測データと2018年1月20日のほぼ同時刻の観測データを用いた差分干渉画像です。 この解析結果から、より広域な地殻変動の様子が捉えられました。図2の画像で見えていた変動は、プウオオ(Pu’u ’O’o)火口付近まで伸びており、 図2の結果と合わせるとおよそ25 kmに渡ると考えられます。 レイラニ・エステート(Leilani Estates)の南側では約100 cmの衛星に近づく変動が観測されました。 また、ハレマウマウ(Halemaumau)火口周辺では、地表面が約50 cmほど衛星から遠ざかる変動をしていることがわかりました
図6には、ハレマウマウ火口およびプウオオ火口周辺の、5月12日と1月20日の強度画像の比較を示します。 いずれのクレーターでも、火口がより深くなるような地形の変化が見られ、火口内の溶岩湖の湖面の低下を示していると考えられます。
図7は表1の③2018年5月17日の観測データと2018年1月25日のほぼ同時刻の観測データを用いた差分干渉画像です。図5と同様の地殻変動の様子が捉えられましたが、図7で使用したデータ③は現地時間17日4時17分頃に発生した大規模な噴火の直後のデータであり、ハレマウマウ火口では地表面が衛星から遠ざかる方向に約110 cm変動しています(図5では約50 cm)。
図8にはハレマウマウ火口周辺における、表1の②5月12日と③5月17日の強度画像の比較を示します。爆発的噴火後の5月17日では火口(黒い部分)がより大きくなっています。
JAXAでは今後も「だいち2号」でハワイ島の観測を続けていく予定です。
関連リンク:
Multiple Aperture Interferometryについて(http://www.gsi.go.jp/cais/MAI.html)
© JAXA EORC